失調型パーソナリティ障害とは、A群パーソナリティ障害の1つで、妄想的で奇妙な考えに縛られ、コミュニケーションの困難さを特徴とします。
非現実的な考えや知覚に支配されており、人とコミュニケーションをとることを苦手とします。
統合失調症に近いものがあるとされ、知覚や思考に過剰な傾向が見られます。
DSM-Ⅳ-TRでの診断項目
以下の9つの基準のうち、5つ以上が当てはまる。
(1)関係念慮を持っており、あらゆることが自分に関係していると考える傾向がある。
(2)魔術的思考を持っており、迷信深かったり、「自分はテレパシーの能力を持っている」「第六感が働く」と言ったりする。
(3)実際には存在しないはずの力や人物の存在を感じるなど、普通にはあり得ない知覚体験や錯覚が見られる
(4)会話内容が乏しい、細部にこだわりすぎる、抽象的、紋切り型など、考え方や話し方が奇異である。
(5)疑い深く、妄想じみた考えを持っている。
(6)感情が不適切で乏しい。例えば、よそよそしくてほほえんだりすることがない。うなずくなどの表情や身振りがめったにない。
(7)奇妙な宗教に凝ったり、迷信を信じていたりするために、行動や外見もそれに合わせて、奇妙で風変わりになっている。
(8)親子関係以外では、親しい人や信頼できる人がいない。
(9)社会に対して過剰な不安をいつも持っている。それも、ほとんど妄想に近い恐怖であることが多い。
原因と背景
このタイプの人は、無関心で表情や反応が乏しく、冷たく形式張った親に育てられた場合が多いとされます。幼い頃に十分な刺激や親密さ、温もりを感じさせる体験が与えられなかったのではないかと考える学者もいます。
また遺伝的な要因が関連するのではと考える学者もいます。
対応・サポートの方法
このタイプの人と接する場合、本人のペースを重視することが大切です。
このタイプの人は身近なことや人付き合いが苦手です。しかし、それを改善するように口を酸っぱくして言っても、なかなか改善は望めません。難点や欠点を責めるより、このタイプの人の得意な分野に目を向ける方が生産的です。このタイプの人は、インスピレーションが豊かで、アイデアマンである場合が多いです。
このタイプの人の長所を生かすには、社会との懸け橋が必要となります。このタイプの人は、現実的なこと、日常的な問題の処理が苦手です。もしも、身近な人にこのタイプの人がいたならば、彼らと現実社会をつなぐコーディネーターになるというのも一つの手です。
治療・克服の方法
治療にあたっては、このタイプの人が何にストレスを感じるのかを明らかにしていくことが必要です。このタイプの人の中には、一見すると社会適応しているようで、実は相当なストレスを感じていることがあります。どのようなことがストレスになるのかを分析し、精神的な負担を少なくすることは精神的な安定につながります。
また、人生設計や仕事選びにおいては、作家や発明家、占い師や宗教家など自分流や自主性を尊重される環境を選んでいくとよいとされます。ただしこのタイプで成功した人は、ある程度の社会的スキルやコミュニケーション能力を持っています。苦手な部分を意識して鍛えていく努力が成功へのチャンスを左右します。