強迫性パーソナリティ障害 (obsessive-compulsive personality disorder)

 強迫性パーソナリティ障害とは、C群パーソナリティ障害の1つで、秩序や一定の流儀への強すぎるこだわりを特徴とします。
 完璧さにこだわるあまり、かえって仕事や学業をやり遂げるのに支障をきたします。強迫性パーソナリティ障害の人は、生真面目で責任感が強く、潔癖過ぎるために自分や周囲が不必要なまでに苦しみます。

DSM-Ⅳ-TRでの診断項目

 以下の8つの基準のうち、4つ以上が当てはまる。
(1)規則、順序、構成、予定表など細かいことにとらわれて、活動の主要点を失う。
(2)完全主義すぎて、何か一つでも落ち度があると、それを理由に計画の達成を丸ごとあきらめてしまう。
(3)効率よくすることにのめり込み、娯楽や友人関係を犠牲にしたり、仕事にのめり込んだりする。
(4)道徳、倫理、価値観に凝り固まっていて、融通が利かない。
(5)とくに思い出や感傷的な理由もないのに、使い古したもの、価値のないものを捨てられない。
(6)自分のやり方に従わない人に仕事を任せたり、一緒に仕事をすることができない。
(7)自分に対しても他人に対しても金銭的にケチである。将来の破局に備えてお金は貯めておくものと思っている。
(8)堅苦しさと頑固である。

対応・サポートの方法

 強迫性パーソナリティ障害の人とスムーズに関係を持つためには、本人のこだわりを尊重することが必要です。回りくどく要領が悪いと思っても本人のやり方でやってもらうのが、結局一番近道ということになります。
 助言する場合には、本人のやり方を全否定するのではなく、やり方の大筋を認めた上で、更に良くなる方法をオプションとして提示するのがいいでしょう。ただし、その通りにしなくても本人が決めたのなら、その考えを尊重するのが良策です。
 また、強迫性パーソナリティ障害の人は、一度何かに没頭し始めたら、疲れ果てるまで頑張り続けてしまう傾向があります。自分で気分を切り替えることが苦手で、その結果、心身症やうつにもかかりやすいです。燃え尽きるのを防止するためにも本人がのめり込み続けないように気分を切り替えるようアドバイスをする必要があります。ただし、このタイプの人は気分転換にものめり込みすぎる傾向があるので、ほどよく楽しめるように助言する必要があります。

治療・克服の方法

 強迫性パーソナリティ障害を克服するためには、自分を縛っている固定観念から自由になる必要があります。そのためには一度、絶対に自分がしなければならならないと思っていることを休んだり、やめてみるという手があります。
 成熟した強迫性パーソナリティの傾向を持つ人は、仕事や課題でミスをしないように、欠陥なくやり遂げようとします。小さな箇所にも配慮が行き届きますが、細部にこだわるあまり肝心な全体を犠牲にすることはありません。また自分のやり方を大事にしますが、それ以外のやり方もある程度受け入れることができます。仕事熱心な努力家ですが、家族や友人、プライベートを犠牲にし過ぎることはありません。正確さや確実さ、責任感を求められる仕事で本領を発揮します。

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