タレス

 タレスは、人類史上最初の哲学者とされています。古代ギリシアの植民都市ミレトスが出身の人物です。

アルケー(万物の根源)

 タレスは、世界に存在する万物の根源を探求しました。この万物の根源は古代ギリシアではアルケーと呼ばれました。
 タレスはアルケーが「水」であると考えました。
 なぜならば、水はどんな生命にも不可欠です。動物も植物も食物も水を含んでいます。一方で無機物である砂や岩石は乾燥しています。また、水は物質の液体・気体・固体のいずれにも変化するという特性を持っています。
 以上のことからタレスは、水がアルケーにふさわしいと考えました。

タレスが哲学の祖となった要因

 タレスが哲学の祖となった要因には以下のようなものがあります。

知的レベルの高い植民都市ミレトスで生活していた

 紀元前6世紀頃、イタリア南部や小アジア(現トルコ)には、ギリシア人の植民地が広がっていました。植民都市ミレトスは地中海貿易により、経済的に潤っていました。つまり、それほどあくせく働く必要がなく、思索に時間を費やせたのです。また、ミレトスの市民は近隣の国々(ペルシアやバビロニアなど)との交流も盛んで知的水準も高かったといいます。

測量術を学んだ知識人であったこと

 タレスは哲学者であるとともの測量術を学んだ知識人でした。影を使ってピラミッドの高さを測定する方法を編み出したり、円が直径によって二分されることを証明しました。また、日食を予知したとも言われています。

タレスが与えた影響

 タレスは、イオニア(ミレトス)学派の創始者です。
 それまでギリシアでは、人間の力が及ばない自然現象は神の力によるものとされてきました。しかし、この説に初めて異論を唱えたのがタレスです。
 彼は万物の根本原理であるアルケーを自然界の中に求めました。つまり、彼はそれまで古代ギリシア人が抱いていた神話的世界観を否定し、自然科学的な法則に目を向けるきっかけを作ったのです。
 このことからタレスは「哲学の祖」とも呼ばれています。

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