パルメニデス(紀元前544年頃~501年頃)は、ギリシャの植民地だった南イタリアのエレアの出身で、エレア学派の創始者である哲学者です。彼は、ピタゴラス学派のクセノファネスという人物から教えを受けました。
パルメニデスは、哲学史上初めて「ある」ということはどういうことかを論理的に問いかけました。それまでの哲学者が行っていた万物の根源であるアルケーに関する思索を否定し「思考と存在は同一である」と主張しました。
彼は、伝統的なギリシャの叙事詩をモチーフに著した哲学詩『自然について』の中で、自らの思想を語っています。
また彼は、地球が球体で宇宙の中心に位置するという見解を初めて表明したとされています。
パルメニデスによるアルケーに関する考え方
エレア学派の創始者とされるパルメニデスは、それまでのミレトス学派のアルケー探求を土台から否定する議題を展開しました。これは後の哲学的思想に大きな影響を与えました。
パルメニデスによれば、真の意味で「ある」ということは、他に助けもなく、それ自身で完全で、しかも永遠に有り続けるということです。逆をいえば、それ以外のあり方は、中途半端なあり方であるということです。
例えばニワトリは、タマゴ、ヒナ、成鳥へと姿を変えます。しかし、それは見た目が変化しているだけにすぎません。そうなってくると「ニワトリ」ということの本質は見た目ではなく、「ニワトリである」という概念にあることになります。なぜならば、「ニワトリである」という概念は変化しないからです。
こうしてパルメニデスは、アルケーと呼びうるのは、変化や現象の背後にある「永遠に変わらないもの」のことをいうと結論づけました。
「思考と存在は同一である」
パルメニデスは、人間が真理を知るためには、正しく考える必要があるとも主張しました。
考えるという作業は、必ず何か「ある」ものについての思考です。これはつまり、「ない」ものを思考の対象にするのは不可能だというのです。
ゆえに、パルメニデスによれば、きちんと思考されうるものだけが本当の意味で存在しているものであるということになります。これをパルメニデスは「思考(されるもの)と存在(するもの)は同一である」という形で表現しました
パルメニデスは思考のみを真理への道とみなしました。そして、感覚に映る現象は、いかに多様で変化に富んでいようとも虚偽や思い込みにすぎないと主張しました。
これは、それまでのアルケーは具体的に存在するものであるという思索を全面的に否定する発想でした。