フリードリヒ・シェリング

 フリードリヒ・シェリングは、ドイツのヴェルテンベルク州に生まれた哲学者です。テュービンゲン神学校で学び、フェヒテの主観的観念論と、自らの自然哲学の融合を試みました。その後彼は、イエナ大学の教授になります。主な著作には『超越論的観念論の体系』などがあります。

シェリングの自然哲学

 シェリングの自然哲学は、自然現象を実証的に研究することを目的にはしていませんでした。その目的は、自然を有機的全体として把握し、自然の根本にあって自然全体を貫く産出力を捉えることにあります。
 シェリング以前の自然に対する概念はいわば惰性的な自然で、人間(精神)が素材として利用するために存在すると考えられていました。つまり精神と自然は主従関係にあるとされていたのです。
 しかし、シェリングの考えた自然の概念は、相互に力を及ぼし合いながら新たな力を作っていく有機体のようなものでした。つまりシェリングは精神と自然は並列関係にあると考えたのです。

同一哲学

 シェリングが批判したフィヒテの考え方では、行為における出発点はあくまで自我(精神)であり、自然はそれに対する抵抗(障害)でした。
 これに対しシェリングは、精神と自然の根底には、絶対的同一者があり、精神と自然はその絶対者の異なった現れにすぎないとしました。このシェリングの思想を同一哲学といいます。
 ただし、この考え方はヘーゲルによって異義を唱えられます。ヘーゲルは、唯一の存在である絶対者から、なぜ有限な存在者が生じるのはおかしいと指摘しました。つまり、無差別な同一者を絶対者とするならば、差別も有限者も存在するはずはないというのです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする