アルトゥル・ショーペンハウアーはドイツ生まれの哲学者です。
ヘーゲルの哲学を合理主義である批判し、厭世主義(ペシミズム)を元に独自の世界観を展開しました。彼の考え方は、政治や宗教に失望していた当時のドイツ市民階級に大きな共感を得えました。
著作には『意志と表層としての世界』があります。
厭世主義(ペシミズム)
ヘーゲルの哲学を合理主義であると批判したショーペンハウアーは、合理的理解に取り込むことができない暗く盲目的なエネルギーや衝動こそがすべてだとしました。そのようなエネルギーを彼は「意志」と呼びました。
人間は自分が何を意思するかは自分自身でも支配できません。人間は意志に突き動かされあくなき生存競争を繰り広げ、常に挫折と苦悩と死を運命づけられています。そこには目的も自由もなく、矛盾と苦悩だけがあります。こういったショーペンハウアーの生を忌避する思想は厭世主義(ペシミズム)と呼ばれます。
苦悩に満ちた生は、芸術、特に音楽と悲劇によって慰められるとショーペンハウアーは言います。そして、苦悩から解放されるためには自分の意志や欲求を諦める禁欲を身につけたときなのだとも彼は説きました。
ショーペンハウアーの影響
ショーペンハウアーの考えは、合理的世界観が人間の居場所を示す機能を失った様を表しています。彼の哲学は、19世紀末の、政治や歴史や宗教に身を預けられなくなった市民階級の間で人気になりました。また、ニーチェやフロイトにも影響を与えました。