ルートヴィヒ・アンドレアス・フォイエルバッハはドイツ生まれの哲学者です。
キリスト教や神学、およびヘーゲル哲学における疎外の構造を明らかにし、マルクスなどの大きな影響を与えました。
また、フォイエルバッハは、ヘーゲルの観念論を批判しました。フォイエルバッハは意識よりも物質的自然の方が根源的であると指摘しました。こうした彼の考え方は唯物論と呼ばれます。
彼の著書には『キリスト教の本質』などがあります。
疎外
ヘーゲル哲学に登場する絶対精神は、強力ではあっても抽象的であるため、かえって現実の人間の姿は見失われるとフォイエルバッハは考えました。
フォイエルバッハは神が人間を創造したのは誤りで、人間が神を作ったといいます。人間はその場に状況において様々な考えを持ち、行動しているうちに本当の自分の姿がわからなくなり、分裂します。そのような人間が、自分の真の姿を投影したものが神なのです。
フォイエルバッハは人間の本質の一つには「愛」があるといいます。それは誰の中にも元々備わっているけれど、自分の利益と欲望に執着する現実の人々は愛を実行に移せません。そのため人は、愛という自分の本質を神として崇拝します。このように、本来は自分の内部にあるものを、自分からは疎遠な外部(つまり神)に投影し、それに支配されてしまいます。こうした状態をフォイエルバッハは疎外と呼びました。