イド (id,独Es)

 フロイトが提唱した構造論において、心の機能の1つと考えられる概念です。性欲を代表とする遺伝的、生得的に備わった生理的欲求などの本能の心的エネルギーの貯蔵庫と考えられています。

語源

 語源は、ドイツ語の非人称代名詞Es(日本語でいう「それ」)です。フロイトは、人の心の中にある無人格的なものを示す用語としてこの語を用いました。要するに良く分からないものだから「それ」と名付けたわけです。

特性

 イドには、身体からとりこまれたエネルギーや抑圧された心的内容が流入してきます。
 イドは完全に無意識的であり、通常はその内容を知ることはできません。しかし、夢や神経症の症状の解釈といった精神分析の技法から推察していくことは可能です。
 イドは、快楽だけを追求する快楽原則に従います。道徳や価値判断などの現実と折り合いをつけるような現実原則は通用しません。原始的な心の働きで、時間や空間も無視します。不合理な思考の有り方である一時過程が働きます。

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