自己自身への向け換え (turning against the self)

 防衛機制の一つです。
 特定の感情や欲動、願望を、外界の対象から自己自身へ向け換えることをいいます。
 例として、本当は相手が悪いと思っている人が、それを意識できずに自分自身を責めるなどがあります。
 S.フロイトは、はじめ、欲動の変遷の一つとしてこれをあげていました。しかし、現在では自我の防衛機制の一つとされています。S.フロイトの理論を発展させたA.フロイトは、この防衛機制が欲動と自我がはっきりと分かれていない時期の防衛機制とみなしました。

自分自身への向け換えの例

 対象と主体、能動性と受動性について、反対物への逆転が起こる場合について、H.ローリンは、両者を統一して、向け換えと呼んでいます。
 古典的な実例としては以下のものがあります。

窃視症から露出症への反転

 窃視症(自分が他人を覗く)から露出症(他人に自分を覗かせる)へと逆転する以前には、自らの性器を覗くという自体愛的段階、つまり自己愛的前段階が存在すると考えられています。

サディズムからマゾヒズムへの反転

 サディズムからマゾヒズムに反転するプロセスは以下の通りです。
①他者へのサディズムが生じる
②他者がサディズムの対象ではなくなる
③サディズムの自己自身への向け換えが生じる
④能動的な衝動が、受け身的な衝動へと質を逆転させる
⑤他者がサディズムの主体となり、自己自身がその対象を引き受けるマゾヒズムが起こる。

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