エネルギー経済論ともいいます。
増減を評価できるような計算化可能なエネルギーである心理的エネルギーに注目する観点のことです。
フロイトと経済論
経済論的観点は、S.フロイトの臨床経験をもとに想定されました。
経済論的においては、計測可能なエネルギーが心的装置の内部を循環していると考えます。
心的エネルギーは特定の対象と結びつきます。例としては、乳児が母親の乳房に執着するなどが挙げられます。この現象を備給といいます。
心的エネルギーは、場合によっては抑圧の障壁を越えてある活動を起こすこともあります。あるいは、そのエネルギーが止められると諸障害が引き起こされることもあります。
経済論的視点はフロイトの学説のなかでも最も仮説的な側面の強い一つです。しかし、この視点は治療の概念においても不可欠の用途をもつものです。たとえば「禁欲原則」は経済論的考察に基づいています。
治療作業には多大なエネルギーが必要となります。精神分析を受けることは、患者側も相当にエネルギーを求められる作業です。その作業が辛いからといって他の代替的の方法で欲求を満足させてしまうと、患者が持っている心的エネルギーが分散されてしまいます。治療作業においては心的エネルギーが脇道にそれずに治療のみに注がれることが求められるのです。