「推論のあやまり」ともよばれます。
実際のできごとを極端にマイナスに評価したり、強迫的に解釈する認知傾向のことをさします。
特徴
認知のゆがみは、うつ病などの患者に特有の情報処理の仕方、あるいは思考パターンです。
不適応を起こす人の認知よくある思考パターンで
- 否定的
- 過剰で柔軟性がない
- 現実離れしている
などの特徴があります。
それらの思考パターンを持つ人の情報処理システムには、ある種の「ゆがみ」があると考えられます。そのゆがみによって、外界の情報や記憶情報を適切に処理することができない状態にあるのです。
不適応を起こす人は、これらのゆがんだフィルターを通して現実世界を見てしまいます。そのため、生活全般において過剰で柔軟性のない否定的な解釈に支配されてしまうのです。
考えられる認知のゆがみの原因
特定の刺激やできごと、記憶に対する偏りであると考えられます。
その一例として、
- 選択的注意の偏り
- 記憶想起の偏り
- 解釈の偏り
が挙げられます。
認知のゆがみが及ぼす影響
認知のゆがみが促進するものとして、
- 自分に対する否定的な見方
- 経験の否定的な解釈
- 将来への否定的な予測
が挙げられます。
また、以上のものにより、否定的な感情を引き起こし、自発的な活動が抑制されます。
認知のゆがみの種類
D.バーンズが発見し、そのエッセンスを抽出した認知のゆがみ(推論のあやまり)には、以下の10種類があります。
全か無か思考
少しの失敗や例外を認めることなく、両極端な結論づけをする。
過度の一般化
ある特定の事実だけを取り上げて、それがすべての証拠であるように考える。
心のフィルター
些細な欠点を大げさに捉え、他の全てを無視してしまう。
拡大解釈と過小評価
自分の短所・失敗を大きく捉え、長所・成功を小さく見積もる。
感情的決め付け
その時の感情で出来事や事実を決めつける。
マイナス化思考
出来事の否定的な側面のみを見る。
結論の飛躍
現実的な可能性を検討せずに、否定的な予想をエスカレートさせる。
以下の2つに大別される。
- 心の読み過ぎ (mind reading):他者が考えていることを確認もせずに、自分はわかっていると思い込む。
- 予期の誤り (the fortune teller error):事態が確実に悪くなると決めつける。
すべき思考
「~であるべき」「~すべき」と、自己や他者に対して、常に高い水準の成果を要求する。
レッテル貼り
自分や他者に対して否定的なラベリングをする。
個人化
出来事の成り行きや結果を自分のせいだと思い込む。