わが国でもっとも使われている心理テストの1つです。
投影法の1種で、描画を分析の対象とする描画法テストでもあります。
スイスの心理学者K.コッホが創始し、A4用紙に鉛筆で「実のなる樹木を一本」描かせるものです。
特徴
他の描画法と同様の利点には、
- 様々な年齢層に対して用いることができる
- 言語表出が困難な者にも用いることができる
があります。
用いられる目的には
- 一般的な人格診断
- 職業適性
- 精神障害や知的障害の早期発見
- 心理療法の効果測定
があります。
実施法
教示は「実のなる木を1本描いて下さい」です。コッホが寒冷地スイスの実状もあって、果樹と表現したものを日本の導入者たちが標準化したようです。ことばとしてこなれ方と音声としての耳ざわりに配慮したようです。ただ、このため日本での実施ではほとんど人々が実を描くようになりました。
道具が少ない分、検査者の役割が大きくなります。心理テストのために被験者のよりよい関係を持てるように育てる必要があります。
広い意味での治療のために検査はあります。検査者は常にこの広義の治療チームの1員であることを忘れてはいけません。共感的許容的であるとともに、とくにはテストを中断するだけの責任性が必要です。
一般には雰囲気を固くしすぎないように記録していきます。記録するものには、提示後の描き始めるまでの時間、描き順、終了までの所要時間などがあります。
木は1本ではなく2本、3本であったりすることもあります。また、ほかの課題とともに描いたりすることもあります。鉛筆画でなくなんらかの彩色画であったりもします。またHTPテストほどではありません。いくらかの描画後の質問をすることも役に立つことがあります。ただし、せっかくの非言語テストでもあり、あまり細かな質問はよくありません。