アメリカのS.ローゼンツァイクによって考案されました。
絵画欲求不満テストともよばれています。
日常生活での24の欲求不満場面に対する反応による投影法性格検査です。刺激がフラストレーション(欲求不満)場面に限定されているので半投影法ともよばれます。他人から害を被った場面や攻撃を受けた場面、欲求不満が喚起される場面などがイラストで示されます。被験者は空白の吹き出しが描かれている人物に同一視し、吹き出しの中に記入することを求められます。
特徴
このテストは原著者によるフラストレーション理論、個性力動論、心理テスト論などを背景とします。元来は臨床診断よりもパーソナリティ研究の手段として、言語連想検査やTATを参考として作成されました。
年齢別に児童用・青年用・成人用があります。
テストの刺激図版
日常的に誰もが経験するような24個の漫画風に描かれたフラストレーション場面で片方の人物の発話と、もう片方の人物には空欄が設けられています。
場面の内容は「自我阻害場面」と「超自我阻害場面」に大別されます。自我阻害場面は、人為的、非人為的な障害によって直接自我が阻害されている場面です。超自我阻害場面は、他者から非難・詰問され、超自我(良心)が阻害されて欲求不満を招いた場面です。
施行法
発話者ではない人物の応答を空欄に記入させる方法、つまり検査者が自分で刺激文を読んで、空欄に答えを記入していくのが一般的です。
集団法は小学3年生以上であれば可能です。読み書きが十分でない被験者には個別による口頭法が用いられます。この方法によると、ほぼ4歳から実施可能です。
スコアリングに関して
言語反応は合計11種類の反応分類に基づいてスコアされます。そのうち9種の評点因子は、3種のアグレッション方向(他責任・自責・無責)、3種の型(障害優位・自我防衛・要求固執)を掛け合わせたものです。それに加え2種の特殊因子が存在します。
P-Fスタディの反応に対しては、ローゼンツァイクはアグレッション(aggression)の語を用いている、彼はアグレッションの本質は問題解決の企図とか主張性にあると広義に解釈しています。
ただしアグレッションは一般的な敵意的攻撃とは少し異なる意味をもっていることに注意しなければなりません。いわゆる攻撃に該当するのは、評点因子の1つである自我防衛型の他罰反応です。
手引には各評点因子の意味だけでなく、場面ごとの評点例が示されています。
スコアリングはそれほど難しいものではありません。これまでの研究によると、熟練者間でのスコアリングは80%以上の一致が期待できます。
テスト結果の査定に用いられる指標は以下の通りです。
プロフィール欄
量的に評価されたアグレッション方向、型、評点因子などによる反応全体
GCR:集団順応度
場面ごとに標準的な反応を基準にした、ロールシャッハのP(popular)反応に対応する
超自我因子欄
超自我阻害場面での反応傾向に注目する
反応転移
個人内における前半の反応と後半の反応の出現状態を比較し、テスト中における心理的変化をみようとする