援助活動は社会の中で行われるものであり、援助される側の問題も社会の中で生じるものです。
法律は人間社会の骨組みを作るのに欠かせない要素の一つです。援助する側もされる側も、社会の一員として法律に従わなくてはなりません。
よりよい援助活動を提供するためには、法的な知識が必要不可欠です。
臨床心理活動において、法律の知識が必要な理由
援助の見通しを立てるため
援助される側の人間は社会の中で生じます。そのため、その状況に関わる法律を知っていることは適切な援助の見通しを得るのに役立ちます。
例えば、配偶者からDVを受けている相談者を援助する場合、DV防止法を知っているか知らないかでは、どのような援助をするのか大きく変わってくるでしょう。
あるいは、離婚調停の意見書のように、法律判断の材料として心理専門職の意見が求められる場合もあります。
専門職としての足場を固めるため
臨床心理士が、家裁調査管、児童福祉司などの法的に規定された職業に就く場合があります。その場合、当然、関連する分野の法律知識が必要となってきます。
他職種と連携するため
現場で活動するにあたっては、心理専門職の人だけではなく、医療職、教育職、福祉職などの様々な職種の人と連携する必要があります。したがって、自分と違う専門領域で働く人がどのような法律に基づいて活動するのかを知る必要があります。
臨床心理学関連の法規
臨床心理学は教育、医療、福祉、産業など幅広い範囲を活動の場とします。
臨床心理活動と深いかかわりがある法律には以下のようなものがあります。
医療・保健
- 医療法
- 地域保健法
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)
教育
- 教育基本法
- 学校教育法
- 発達障害者支援法
福祉
- 社会福祉法
- 児童福祉法
- 生活保護法
- 障害者自立支援法
- 児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)
- 高齢者虐待防止法
司法・矯正
- 少年法
- 少年院法
- 刑法
- 犯罪被害者等基本法
産業
- 労働基準法
- 労働安全衛生法
家庭
- 民法
- 配偶者からの暴力の防止及び保護に関する法律(DV防止法)