臨床心理学における活動の中で、アセスメント、心理療法などを通して、現実に介入していくことを意味します。
実践活動は臨床心理学の中核をなす次元です。
実践活動の対象は、個人である場合もあれば、家族や学校といった集団の場合もあります。
実践活動の過程
まず、アセスメントを行います。アセスメントとは相談者が抱えている問題が何なのかを直接質問したり、心理検査などを用いて情報収集をし、問題に対する仮説を立てることです。
そして、アセスメントから組まれた仮説を元に、問題解決へむけて「介入」していきます。
対象となる問題は、個人的な要因や対人関係的な要因、あるいは社会的な要因などが複雑に絡まっている場合が多くあります。
そのため、アセスメントと介入を交互に繰り返す「仮説生成―検証過程」を行いながら問題解決へと向かっていきます。
仮説生成―検証過程において、仮説を立てる際に使われるのが、異常心理学(心の病気に関する理論)や心理療法などの理論、知識、技法です。大切なのはさまざまな理論、知識、技法を統合的に利用して介入することが必要です。特定の理論にこだわって視野を狭くすることがあってはいけません。
実践活動の3つの次元
実践活動は、更に「コミュニケーション」「ケース・マネジメント」「システム・オーガニゼーション」の3つの次元に分けて考えることが有効です。
コミュニケーション (communication)
実践活動の基本技能として位置付けられます。
問題を抱えている当事者や、その関係者との間に専門的な関係を形成することをいいます。形成された関係を媒介として活動を行います。
ケース・マネジメント (case management)
実践活動の中核技能として位置付けられます。
相談者が抱えている問題に対して仮説を立て、介入方法を決定し、実際に介入し、必要とあれば仮説を組みなおし改めて介入する過程をいいます。
システム・オーガニゼーション (system organization)
実践活動の発展技能として位置付けられます。
社会システムの中で、臨床心理学の実践活動を社会活動として組織化していく次元です。