ニコラ・ド・マルブランシュは、パリに生まれの哲学者です。ラ・マルシュ学院で哲学を、ソルボンヌで神学を学びました。その後に、オラトリオ会に入り、1664年には神父になりました。
彼はデカルトの著書『人間論』に書かれた哲学から影響を受けました。
マルブランシュの著書には、『真理探求論』、『自然および恩寵論』、『道徳論』があります。
機会原因論
機会原因論とは、マルブランシュによって唱えられた考え方です。偶因論ともいいます。
機会原因論では、物理現象や、心的な現象が物理現象に作用する因果関係は本物の因果関係ではなく、真の原因は神にあると考えます。
マルブランシュの哲学的主張は「すべての事物を神において見る」というフレーズで知られています。これは、デカルト流の心身二元論の解決を試みるための考え方です。
マルブランシュの考えでは、人間の感覚や想像は本当の認識ではなく、神の内なる観念に至るきっかけとされます。
現象としての物体(身体)の運動は認められますが、その原因は物体そのものにはないと機会原因論では考えます。物体の運動や精神の意欲をきっかけ(機会)として神が発動が発動します。そして、
最終的には神がさまざまな運動を引き起こしているとされます。