エミール・デュルケムは、フランスの社会学者で、代表的な総合社会学の提唱者です。
彼はユダヤ教の有名な法律学者を輩出している家系に生まれ、パリの高等師範学校で学びました。その後はまずボルドー大学の教授となり、その実績が認められて1902年にパリ大学に移りました。
主な著作には『社会分業論』などがあります。
社会分業論
デュルケムは著書『社会分業論』の中で、産業革命の進行がフランス社会にもたらす変化について論じました。デュルケムは、産業革命により、古い社会が壊され、新しい社会が生まれると考えました。具体的には、それまでは機械的連帯だった社会が、有機的連帯の社会へと移りつつあると考えました。
機械的連帯の社会とは、例えば同じような村落共同体がたくさん集まっている社会をいいます。村落共同体の内部はどれもほとんど同じなので、その一つを全体から切り離しても、社会はほとんど影響と受けません。
一方で、有機的連帯の社会とは、各部分が同じではなく、それぞれが違った構造を持ったものをいいます。有機的連帯の社会では、分業によって相互依存関係にあって、全体として一つのものとして存在しています。
アノミー
デュルケムは、近代とは社会が機械的連帯から有機的連帯に再編成されつつある時代であるとしました。
しかし、この変化は多くの問題を引き起こします。彼は、古い社会が壊されたのに、新しい社会が確立していない移行期間には、規範や規制が失われて、人間がどのように振る舞えばいいのかわからずに混乱した状況に陥るとしました。この混乱はアノミーと呼ばれます。
その上で彼は、アノミーから脱するために職業集団や学校制度による内面の改革に期待しました。
社会的事実
社会的事実とはデュルケムによって作られた概念です。人間が作ったはずの制度が、まるで自然現象のように人間では動かせなくなることをいいます。
例えば、呪術は、信じない人からすればただの迷信ですが、みんなが呪術を信じている社会では、呪いを受けたらお祓いを受けなければなりません。その結果、呪術的な力があたかも客観的事実のように見えるのです。