ルネ・ジラール

 ルネ・ジラールは、フランス生まれに生まれ、アメリカで学位を取得したアメリカ国籍の文芸批評家・社会学者です。
 著書には『暴力と聖なるもの』『贖罪の山羊』などがあります。
 彼は欲望に関する理論である「欲望の三角形」や、「贖罪の山羊」に関する理論を唱えました。

欲望の三角形

 欲望の三角形とは、ジラールの欲望論で用いられる図式です。ジラールによれば、欲望とは具体的な対象に対する欲望ではなく、他者の欲望を模倣するところから始まります。
 欲望の起源が他者の欲望を真似することであるならば、欲望は対象からもたらされるものではありません。従って欲望には限度がなく、満たされることがありません。従って、欲望の対象は現実を超えたものとなります。

贖罪の山羊

 贖罪の山羊とは元々は、儀式の際に罪を背負った人々の身代わりとして神に捧げられる山羊をいいます。社会は安定するために、贖罪の山羊とされた人々に対して暴力を振るうのだとジラールは指摘しました。
 人間には、自分でもわけがわからない無秩序が存在します。この無秩序は集団にとっては暴力という形で現れます。この暴力を制御するために、全員一致で一人を犠牲にします。そのようにして、社会秩序を守るのです。しかし、犠牲になった一人への負い目が残るので犠牲者によって社会はされます。これこそが、社会を統率する聖なるものの始まりなのだとジラールはいいます。

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