マックス・ウェーバーは、ドイツの生まれた社会学者です。彼の父は自由主義の政治家で、ウェーバーが政治的なことに関心を示すのは自然なことでした。彼はハイデルベルク大学、ベルリン大学で法律学を専攻し、ベルリン大学の私講師となりローマ法と商法を講じます。
著作には、『権力と支配』『支配の社会学』などがあります。
理想型による認識論
ウェーバーの社会学は理想型による認識論に端を発しています。
理想型による認識論とは、人は何かを認識する際に予め認識する対象の理想型を持っているという考え方をいいます。例えば、人が丸い物体を丸いと判断したとします。この場合、人は現実の物体を見て丸いと判断しているのではなく、予め頭の中に「丸い」という理想形があって、それに当てはめることによって、それが丸いと判断しているのです。
ウェーバーは社会学とは、人間行為の様々な理想型のカタログであるとしました。このカタログは歴史や先行的条件なしにはありえません。ウェーバーはこれを合理的に整理したわけです。
価値自由
理想型という考えについては、その客観性が問題になります。いくら理想型といっても、それが個人の主観であってはいけません。彼はこのことについてを論文『社会学的、社会政治的認識の客観性について』で取り扱っています。その中で主張されているのが自由価値です。
自由価値とは、自他の価値評価から距離を置いた自由な態度をいいます。
自由価値は、人間は「価値」がなければ判断できず、自由でなければ判断の客観性が保証されません。つまり、認識の客観性を保障するには、認識と判断を行う自分(つまり主観)についても認識し判断する必要があるのです。
支配の3類型
社会学を人間行為の様々な理想型のカタログであるとしたウェーバーは、政治支配について3つに分類しました。
それは以下の3つです。
- 合理的支配:法則やルールに定められた型の支配
- 伝統的支配:伝統で決められた支配
- カリスマ的支配:特別な人格的力による支配
脱魔術化
脱呪術化とも訳されます。
脱魔術化とは、ウェーバーによって提唱された世界像の合理化のプロセスをいいます。全体社会が宗教システムと無関連に作動するようになることをさします。
ウェーバーは、西欧近代の文明を他の文明から区別する根本的な原理を、合理性であると仮定しました。そして、その発展の系譜を脱魔術化と捉え、比較宗教社会学の手法で明らかにしようとしました。
ただし、脱魔術化により科学的合理化や官僚化が進んだ社会では、社会システムが硬直化し推進力が失われます。この状況が慢性化すると、預言者や軍事的英雄、扇動政治家などの宗教と政治という非合理的な力が推進力になりかねません。こういった状況を後世の人々は再魔術化と呼びます。