モーリス・メルロ=ポンティ

 モーリス・メルロ=ポンティは、フランスの哲学者です。リヨン大学、パリ大学を経て、コレージュ・ド・フランスの教授に就任しました。
 メルロ=ポンティの思想では、人間の身体が重視され、彼は身体図式などの概念を説きました。
 また彼は、知覚に基礎をおいた現象学の新しい展開を試みました。
 著書には『行動の構造』『知覚の現象学』などがあります。
 サルトルとともに実存主義の指導者的な役割を果たします。しかし、後に政治問題などによりサルトルと決別します。

身体図式

 身体図式とは、状況の変化に応じて、身体の各部位を調整し、行いたい動作へと統合していくことをいいます。
 例えば、自転車を漕ぐ場合、状況の変化に対して身体はひとりでに反応します。これができなくては、適切な姿勢の保持ができず、自転車を漕ぐことができません。身体の各部位の運動のバランスを調整しながら自転車で走るという動作へと統合していきます。これが身体図式です。

状況内存在

 身体図式によって身体と状況は一つのシステムをなします。状況内存在とは、状況とシステムをなす身体のあり方をいいます。
 人間は、空間的にも時間的にも特定の位置に身を置く存在です。様々な経験を重ねる中で世界を理解していきます。空間と時間の中で、その都度出会った状況と向き合っていくのが人間本来の姿なのです。

世界の肉

 世界の肉とは、メルロ=ポンティが未完の著作『見えるものと見えないもの』の中に残した言葉です。
 人間は、何かを見たり聞いたりして夢中になっているとき、その身体は見聞きしている何かによって占有されています。この場合、自分自身という主体と、知覚している主体が区別を超えて浸透しています。この相互浸透する世界が世界の肉なのです。

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