カール・ヤスパース

 カール・ヤスパースは、ドイツの精神科医・哲学者で、実存主義哲学の代表的する人物の一人です。
 元々は、医学の道を志していましたが、途中で哲学に転向。最終的にはスイスのバーゼル大学に移り研究を続けました。
 著書には、『精神病理学総論』、『実存哲学』などがあります。

哲学的真理

 ヤスパースによれば、実存とは各人に固有なありかたです。客観的な物事のようには分析できないとしました。そのため、実存は頭で考えるのではなく実感するより仕方がないものなのです。
 自分を取り巻く果てしない世界の中で様々な経験をし、世界の大きさを実感したとき、初めて他の誰とも違う自分という実存を認識できるようになります。
 ヤスパースは、このように各人に実存を与えてくれる経験を、自然科学的な意味での真理と区別して哲学的真理と呼びました。
 哲学的真理は、科学的真理のような客観的普遍性は持ちません。仮に他人にとってはどうでもいいことでも、自分の心を強く動かす芸術や思想は哲学的真理といえます
 人間は、様々な経験を重ねることによって成長し、自己を常に生成し続けます。経験の中で特に重要なものが人々との関わりの体験です。ただし、ここでいう関わりとは馴れ合いの関係ではありません。これはお互いに切磋琢磨し、高めあっていく関係をいいます。

限界状況

 限界状況とは、ヤスパースの実存哲学における用語の一つです。
 人間が、いかなる人間の力や科学の力をもってしても克服できない、逃れることが出来ず、人間の日常的現実を粉砕してしまう状況のことをいいます。具体的には、自分の死や、思い悩むことから逃れられないなどがあります。
 限界状況は、人間にとっては大きな壁となる状況です。人はただそれに衝突し、挫折するほかありません。しかし、限界状況に直面したときにこそ「超越者」との出会いなどによって、人は実存に目覚めるのだとヤスパースは主張しました。

超越者

 ヤスパースのいう超越者とは、いわば神のことです。
 ヤスパースがいうには、人間が限界状況により追い詰められたとき超越者と出会います。そのときに超越者に相対することではじめて自己が自己たりうるのです。
 超越者は、暗号という形においてのみ現れます。これを暗号形態といいます。
 ヤスパースは超越者の暗号を以下の3種類に区分しました。

第一言語

 歴史的瞬間において、その都度1回限り直接絶対意識に映ずる暗号をいいます。

第二言語

 第一言語が伝達可能なかたちに普遍化された神話や芸術などをいいます。

第三言語

 哲学的伝達の可能な第三言語を形而上学における思弁的な言葉をいいます。

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