バーランド・ラッセルは、イギリスの数学者・哲学者・社会学者だった人物です。イギリスの首相を2度務めた初代ラッセル伯ジョン・ラッセルを祖父に持ちます。
哲学者ホワイトヘッドとの共著『プリンキピア・マテマティカ』では記号論理学の集大成を行いました。また、『西洋哲学史』では哲学史研究を行いました。
また彼は、反戦・反核運動家としても知られています。
論理的原子論
論理的原子論とは、ラッセルが到達した考え方です。
物事を内側から考えるとき、一見するとその諸要素は絡み合い、お互いに包み込みあって世界は統一されているように捉えられます。しかし、ラッセルはこれを観念論として批判しました。
ラッセルは、対象を突き詰めていくとアトムに到達するとし、これを論理学に応用しました。
すべての命題は、それ以上分解できない単純な原子命題(要素命題)から論理的に構成されているとラッセルは主張しました。
記述理論
記述理論とは、一見対象を名指ししているかにみえる記述を主語として含む文を、その記述を含まない複数の文に分解し、論理上の問題を解消する方法をいいます。
例えば、指示対象が存在しない「ドラゴン」や「木製のガラス」といった言葉があったとします。これらの言葉の入った文を解釈する場合、記述理論を使えば、その文を無意味としたり、存在しない指示対象を何らかの概念の存在を仮定することなしに解釈が可能になります。
例えば、「木製のガラスは危険」という文章があったとします。この場合、「木製のガラス」が存在しないので、それが危険なものという集合に属しているか論理上は判断できません。
そこで「木製のガラスは危険」という文章を記述理論によって分解します。
この場合、
- Xは木製のガラスである。
- Xは危険である。
- Xは存在する。
となります。
こうなると最後の「Xは存在する」が間違っています。よって、文全体も間違っていると言えるのです。