カール・グスタフ・ユングはスイスのドイツ国境に近いホーデン湖畔の町に生まれた精神科医・心理学者です。
深層心理について研究し、分析心理学(通称・ユング心理学)を創始しました。
著作には『元型論』『タイプ論』などがあります。
集合的無意識
ユングは、フロイトの提唱した無意識を、個人的無意識と集合的無意識とに区別しました。個人的無意識とはフロイト定義の無意識とほぼ同等のものです。一方、集合的無意識とは人類が共通して持っている心的イメージです。集合的無意識は、通常は意識出来ないが夢や精神病の妄想などで元型を通して現れるとされています。
元型
元型とは、集合的無意識の内容の表現(夢など)の中に見られる、共通した型をいいます。
元型は夜見る夢のイメージや象徴を生み出す源となる存在とされています。
集合的無意識にあるものは意識に影響を与える際、直接意識に上るのではなく、人類共通のイメージとして現れます。この心的イメージが元型です。
元型という考えは、集合的無意識が認められて初めて存在する概念です。
元型は、個人の体験に基づいて構成されるのではありません。人類の極めて長い経験の蓄積の結果、構成されたもので、遺伝的に心に継承されると考えられています。
タイプ論
ユングは人間の人格傾向を外向型―内向型にわけ、さらに合理的機能である思考―感情、非合理機能である感覚―直感に分類するタイプ論を提唱しました。外向―内向、思考―感情、感覚―直感は、それぞれが相対する特性です。しかし、そういった相対するものを統合する過程が生きる上で必要であると唱えました。これは個性化と呼ばれ分析心理学の治療技法においては最終的な目標となります。