ハンス・ゲオルク・ガダマーはドイツの哲学者です。古典・原典などのテクストの解釈の問題を追求し、解釈学的哲学を展開しました。
著作には『真理と方法』などがあります。
地平と真理要求
人や時代、地域によって異なるものの見方・感じ方のことをガダマーは地平と呼びました。
理解が困難なテクストを読んだとき、解釈者である読者は地平の動揺に襲われます。
しかし、テクストの著者はその著者なりの真理を述べて読者に真理として承認してくれるように要求しています。これが真理要求です。
地平融合と解釈学的循環
地平融合とは、テクストの読者の地平の動揺により、テクストの著者の地平が相対化され、第三の地平が開けることをいいます。
しかし、地平融合によって開かれた第三の地平も、別の見解にぶつかれば崩れてしまいます。自分の地平を絶えず相対化しながら、様々な他者の理解を深めていく作業に終わりはありません。解釈学的循環とは、このような地平融合の反復過程をいいます。その上でガダマーは、地平融合を引き起こす「真の問い」を発することが哲学の使命としました。