親鸞

 親鸞は、法然の弟子にあたる僧侶で、浄土真宗の開祖となった人物です。
 1173年、親鸞は下級貴族の子として京都に生まれました。9歳で出家し、比叡山に入りました。その後、法然の弟子となり、百日間、法然の草庵に通いつめたと伝えられています。
 浄土宗が弾圧を受け、法然が四国に流罪となったとき、弟子である親鸞は越後(現在の新潟県)に流されます。流罪により僧侶の資格を奪われても親鸞は布教活動を続けました。流刑を許されても京都には戻らず、常陸(現在の茨城県)に草庵をつくって、関東地方に念仏の教えを広めました。

浄土真宗

 浄土真宗は親鸞を開祖とする仏教の宗派をいいます。
 浄土真宗では、親鸞が著した『教行信証』を根本聖典としています。『教行信証』は全6巻の構成で、主な内容は以下の通りです。
・教巻:阿弥陀仏の誓いによって救われる
・行巻:救われるためには念仏をとなえれば良い
・信巻:念仏では阿弥陀仏を信じる心が大切である
・証巻:阿弥陀仏を信じて念仏すれば浄土往生する
・真仏土巻:真実の浄土についてが述べられている
・化身土巻:方便の浄土についてが述べられている

絶対他力

 絶対他力とは、親鸞の信じた仏教に対する考え方をいいます。ここでいう他力とは阿弥陀仏の力のことをいいます。
 旧来の仏教では、戒律を守ることによって自らを成仏させようとしていました。つまり、自分の力で浄土を目指していたわけです。これを自力といいます。
 ところが親鸞は自力では人間は救われないとしました。彼は法然の専修念仏の立場を更に徹底し、人間は一切の自力の行ができない非力な存在だと主張します。また、人間が自力で救済されるというなら阿弥陀仏の救済を疑うことにつながります。そこで親鸞は、阿弥陀仏の力(つまり他力)を信じる絶対他力の信心を重要視しました。

唯円と『歎異抄』

 唯円は、親鸞の弟子にあたる人物です。彼は、21歳のとき親鸞のもとを訪ね、直接教えを受けました。そのとき聞いた言葉を師の20年後ほど経ってからまとめたものが『歎異抄』です。

悪人正機説

 悪人正機説とは、『歎異抄』の中で説かれている教えをいいます。
「正機」とは救済を受ける条件を備えていることをいいます。悪人正機説では、悪人こそが救済を受けるのにふさわしい条件をそなえているといいます。
『歎異抄』によれば、善人は浄土に往生するために、自分の善行に頼もうとする傾向があるといいます。一方で悪人は阿弥陀仏の他力に頼るほかありません。だから、自力に頼る善人でさえ往生するのだから、他力に頼むしかない悪人が往生できないわけがないという理屈になるわけです。

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