源信

 源信は平安時代の天台宗の僧侶だった人物です。9歳で比叡山に入り修行を始め、やがて朝廷の法会の論議では褒美をもらうまでになります。しかし、信仰の篤い母から高名な僧であるより世を捨てて修行に励む僧であってほしいと言われます。源信は隠棲して念仏に専念し、念仏の合間に『往生要集』を著しました。

往生要集

『往生要集』は浄土を求めることを説くために著されました。しかし、この書物は導入部に書かれている地獄についての詳細な描写により有名になりました。その描写は日本人の地獄のイメージとして定着し、後の美術や文学に大きな影響を与えることになります。
『往生要集』で描かれる地獄には以下の8つの大地獄があります。
・等活地獄
・黒縄地獄
・衆合地獄
・叫喚地獄
・大叫喚地獄
・焦熱地獄
・大叫喚地獄
・無間地獄(阿鼻地獄)

観想念仏と称名念仏

『往生要集』の中で源信は、念仏には大きく分けて観想念仏と称名念仏の二種類があると説きました。観想念仏とは心の中に仏の姿を描くもので、称名念仏は「南無阿弥陀仏」と声に出して唱えるものをいいます。源信は観想念仏の方が称名念仏よりも優れているとしながらも、称名念仏によっても往生する可能性も認めました。
 称名念仏の考え方は鎌倉時代に法然に受け継がれ、浄土宗の専修念仏に発展していきます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする