防衛機制の一種です。
同一化ともいいます。
同一視は、個体が対象に向かって運動して対象と一体化することです。
その結果同化した者はいくつかの点で他者のように振舞います。その人物はいわば模倣しているのであり、自分自身そうとしらないまま他者を自分に受け入れます。
対象と同じになるということは、対象との感情的結合を可能にします。また、諦めなければならない対象を自我の中に取り入れることで対象との結合の代用物を機能させることを可能とします。
摂取と同一視の違い
同義的に使われることが多いですが、取り入れは同一視(同一化)の前段階であると考えられています。
取り入れにおいては自己と対象とがまだ区別されています。一方で同一視は、自己と対象の区別がなくなってしまっています。
発達と同一視
同一視は正常な発達過程に重要な役割を果たします。
自我が発達して自他を識別できるようになると両親や養育者、また潜伏期から思春期になると両親以外の友人、教師などとの間で同一視が起こります。こうした一連の同一視によって人格が形成されるのです。
超自我も、エディプスコンプレックスの解決の過程で、両親の禁止的側面を同一視することによって形成されていきます。
同一化は自我の成長に不可欠です。子どもが親を真似る場合、好きだからというばかりでなく、逆の場合もありえます。同一視は、人間主体を形成していく中心的活動なのです。
防衛機制としての同一視
同一視はまた、自我の防衛機制としても重要な役割を持ちます。
同一視の例としては、
- 喪失した愛情対象に同一視することで喪失感や不安を防御したり
- 脅威の対象に似ることによって恐怖を避ける「攻撃者との同一視」
- 同情、共感などの感情、社会の構成員を結合する集団心理にも同一視がある役割を果たす
などがあります。