円環的因果律 (circular causality)

 G.ベイトソンが提唱した考え方です。 

 システムの要素は相互に関連し、循環しているので、原因を1つに特定することはできないとする考えです。

直線的因果律と円環的因果律

 円環的因果律と反対の考え方は直線的因果律です。直線的因果律(図1)では、結果が生じるには特定の原因が存在すると考えます。われわれの日常的な経験の大部分は、この直線的因果律をもとにして成立しています。
 一方、円環的因果律(図2)では、人間関係や出来事は相互に関連し、循環していると考えます。これは、システム内にいつくものフィードバック・ループが存在していることにも対応します。ベイトソンは、直線的因果律は円環因果律の一部でしかないと主張しました。

円環的因果律と家族療法

 例えば、非行に走った少年がいたとします。そして、その少年の家庭は夫婦喧嘩が絶えず荒れていたとしましょう。
 この場合、直線的因果律で考えると、「少年の家では夫婦喧嘩が絶えない」よって「少年は非行に走った」となります。
 しかし、その夫婦喧嘩の原因が、息子であるその少年をどうやって立ち直らせるかというものの議論だったらどうでしょうか。この場合、「少年が非行に走ったこと」と「夫婦喧嘩が絶えないこと」のどちらが原因とは言い難いのではないでしょうか。あるいはどちらも原因になりうるし、結果になりうると言えそうです。これが家族というシステムにおける円環的因果律の例です。
 家族療法では、こういった悪循環を断つことを目的に介入が行われます。

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