家族システム論 (family systems theory)

 家族を1つのまとまりをもつ生命系としてとらえる理論です。

 システムとは、いくつかの意味のある関係で結びついたサブシステムから構成されるものをさします。
 家族システムとは、夫婦、父子、母子、同胞がそれぞれ特異なサブシステムにより構成されます。その諸部分は、それぞれが独立して機能することもあれば、全体が連動することもあります。

家族システム論の歴史

 家族システム論は、一般システム論やサイバネティクス理論を基礎にして誕生しました。しかし、心理療法分野にとりいれられるにしたがって、機械論的な偏見や先入観を脱します。そして、より人間的な側面を重視した独自の発展を見せはじめています。
 とりわけ、理論面から大きな貢献を果たしているものとして、子どもが思春期に達した家族に見られるような、家族人生周期の移行期における家族危機の問題が挙げられます。
 この理論が大きな貢献をもたらしている理由として、

  • 一方向からではなく、複眼的あるいは多面的にとらえる
  • 的確に問題の解決にあたる家族療法を実践するのに、理論面からの大きな貢献を果たしている

 が挙げられます。
 心に問題を持つ人がいる家族は、現状維持の傾向が強く、システムが硬直化していることがあります。
 かつては、この病理的な家族の安定性を壊すことが家族療法の目的とされてきました。
 しかし、現在では機能不全の家族にもそれなりの自己治癒力があることを認めるようになっています。セラピストはそれを補完・促進する形で援助する方向に変わりつつあります。家族の「あるがまま」を尊重するセラピスト側の姿勢が、悩みをかかえた家族にも歓迎されます。

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