「全体としての家族」を診断・治療の1単位として考え、家族の機能や問題点の解明を重視する理論のことです。患者個人の精神病理と問題行動を診断・治療において限定しません。
歴史
第二次世界大戦以前は、精神医学領域の家族研究は、遺伝や素因に関する研究が主流だった
しかし、第二次世界大戦後は子どもの人格形成や精神病理の成因に家族の要因が関係するものとして理解されるようになります。その代表的な研究がアッカーマンの家族精神力動という考え方です。彼は、相互作用の単位としての家族を重視し、家族の同一性、家族の安定性などの概念を提唱しました。
用語解説
家族の同一性
家族メンバーが共有する価値観や目標追求を意味します。または、自分たちが同じ家族であるという独自のイメージを意味します。
家族の安定性
家族過程の進行とともに安定・不安定・均衡の破綻・その代償・修復・回復・成長をあらわす概念です。
家族役割
「全体としての家族」は、固有の家族ライフサイクルをもっています。各家族メンバーは、それぞれ二人一組、三人一組といった社会的・情緒的役割関係により互いに結合しています。この結合を家族役割と呼びます。