中世哲学の流れ

 ここでいう中世とは、原始キリスト教誕生から、ルネサンスの時代までをいいます。
 ギリシア人の思想・文化であるヘレニズムと、ヘブライ人の思想・文化であるヘブライニズムが混ざってヨーロッパ文明が成立しました。このヘブライニズムの源流になるのがキリスト教の思想です。
 当初はユダヤ教の宣教師だったイエス・キリストの教えが元となって原始キリスト教団が生まれました。キリスト教の教えは、ペトロやパウロらの活躍によって広まり、やがてローマ帝国の国教となります。ローマ帝国の国教になる上で重要になるのが教父による哲学です。
 キリスト教は政治的理由からヨーロッパ世界の中心教義となりました。しかし、キリスト教は、人間の原罪などの理性では計り知れない教義を含んでいます。これを、中世初期の哲学者たちは、いかにして理解可能なものにすればいいのかという問題に心を砕きました。
 教父による哲学を通じて、キリスト教の教えは整備されていきます。しかし、イスラム経由で紹介されたアリストテレス哲学によって、キリスト教の教えは新たな展開をみせます。キリスト教の教えとアリストテレス哲学を融和して独自の体系を作り上げたのがスコラ哲学です。
 このようにしてキリスト教の教えはヨーロッパ世界に浸透していきます。ところ、やがて権力を持った協会は免罪符などを発行し金儲けに走るなどして腐敗していきます。こうなると原始キリスト教以来の流れを組むキリスト教の一派であるカトリックに、反抗する勢力が生まれます。この反抗勢力がプロテスタントと呼ばれる一派です。
 また、その一方でルネサンスという運動が起こります。古典古代の文芸復興として人間主体の価値観をつくることを目的としました。

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