モンテーニュは、モラリストの始祖といわる人物で、フランスのルネサンス期の人文学者の一人です。官職についていましたが、若くしてリタイアし、その後は読書と執筆に没頭しました。
彼は『エセー』(今でいうエッセー/随筆)で、過去の文献や当時の航海記や見聞録を踏まえた上で、独自の論を展開しました。
哲学における3つの学派
彼は著書『エセー』の中で哲学の学派は以下の3つに分かれるとしました。
真理はすでに見出されたとする学派
これは独断論ともいえる学派で、アリストテレスやエピクロス、ストア派が含まれます。
真理など見出し得ないとする学派
これは古代ギリシアにおける懐疑論者カルネアデスに代表されるアカデメイア派の懐疑論をいいます。
いまだ真理を求めているという学派
これは、懐疑主義の祖といわれるピュロンに続くものをいいます。モンテーニュはこれに属します。
ク・セ・ジュ
ク・セ・ジュとは、モンテーニュ「私は何を知っているか?」という問いかけをいいます。
ルネサンス時代には、重要な地理上の発見が相次ぎました。しかし、人種が違えば、人間の行動や考えも一変するものです。そこに絶対的な優劣はありません。なので、常に自分の分をわきまえ、あるがままの自然なあり方に身をゆだねることが大切だとモンテーニュは説きます。
異文化と出会ったとき、人間の反応は以下の3つに分けられます。この中で「寛容」の姿勢を持つのが「モラリスト」なのです。
排除
自分が理解できないものを、絶対に受け入れようとしない姿勢をいいます。
教育
望まれてもいないのに、相手に教育をほどこし、自分の文化に取り込もうとする姿勢をいいます。
寛容
自分の立場に反省を加え、自らの文化をいったん相対化する姿勢をいいます。