イエス・キリストとは、キリスト教の創始者となった人物です。ただし、イエス自身は原始キリスト教徒ではありません。彼の教えに基づいて弟子たちが原始キリスト教をつくり、そして世界に広まっていきました。
イエスの存在や教えは、中世哲学を紐解く上で無視できない影響を与えました。
イエス・キリストという呼称について
イエス・キリストという呼称は、本来ならば「イエス」と「キリスト」で区別されます。なぜなら、「イエス」は歴史上に実在した人物の名前ですが、「キリスト」は「救い主」を意味する宗教上の概念だからです。つまりイエス・キリストという呼称は「キリスト家のイエス」という意味ではありません。
イエスの生涯
イエスの障害をおおまかにまとめると以下のようになります。
イエスの誕生
イエスの母は、大工ヨセフの婚約者マリアです。新約聖書によれば、ある日、マリアの前に天使ガブリエルが現れ、マリアは神の子を身ごもったと告げます。これが受胎告知です。また、マリアが聖霊によるマリアの懐妊を処女懐胎といいます。
ヨハネによる洗礼
イエスが青年になった頃、ヨルダン川の岸辺にヨハネという説教者が現れます。ヨハネは神の怒りの審判が近いと人々に語りました。ヨハネは神の赦しを得るためには悔い改めが必要だとして、人々に洗礼を授けました。洗礼とは、水を浴びることで心身の汚れを清める宗教的な慣習をいいます。
30歳の頃、イエスはヨハネによって洗礼を受けます。洗礼とは、水を浴びることにより汚れた心身を清める宗教的な儀式をいいます。
やがて、イエスは、ヨハネの元を訪れ彼から洗礼を受けます。そして、イエスが洗礼を終えると、天が裂けて聖霊が降ったといいます。
独自の宣教活動
洗礼を受けた後、イエスは荒野で修行し、そしてガラリアで独自の宣教活動を行います。
イエスは、貧しい人々や差別を受けていた人々を中心に教えを広めます。彼は、それまでの法律から生じた差別や偏見にとらわれない思想によって人々を結びつけていきます。
十字架刑
イエスの思想は次第に人々に広まり、彼はやがて弟子とともに首都エルサレムを訪れます。そこで、当時のユダヤ教の権力者たちと論争を繰り広げました。しかし、イエスは治安維持の名目で逮捕され、抵抗分子として十字架に張り付けられてしまいます。
イエスの復活
十字架型により息を引き取ったイエスの遺体は、岩を掘ってつくられた墓に一旦納められました。後日、正式な埋葬のため、女たちが墓にやってきます。すると、墓の入口を塞いでいた石が脇に転がされて墓の中は空になっていました。そこで天使が現れて、イエスの復活を告げます。こうして弟子たちはイエスの復活を知りました。
隣人愛
イエスは元々、ユダヤ教の伝道師でしたが、それまでのユダヤの教えに疑問を持ちます。それまでのユダヤの教えは、神はユダヤの民族だけを選んで法律を与え、ユダヤの人々はそれに応えることで救われるというものでした。
しかし、これに対してイエスは、万能である神の前では人間はみな罪人であり、法律を形式的に守るだけでは無意味であると考えます。問題なのは、法律にそむく罪を犯したかではなく、己の内なる罪を自覚できるかどうかにあります。
人間は神に比べれば罪人であり、その感覚をもった者であれば、誰に対しての神の愛は注がれるとイエスは考えました。
神による無限の愛であるアガペーは、救いを求める者に対して平等に向けられます。アガペーに対して、人間は万能である神へのお返しはできません。よって、神の愛に人間が応えるためには、神の愛と同様に自分も分け隔てなく隣人を愛するしかありません。これが隣人愛です。