エックハルトは、ドイツのテューリンゲン地方に生まれました。パリなどで学業を修めた後、「マギステル(マイスター)」の称号を受け、パリ大学神学部の教授となりました。
著書には『パリ討論集』『三部作』などがあります。ただし、エックハルトは晩年に異端審問にかけられており、その著書『神の慰めの書』などは彼の死後まもなく焚書とされました。
ドイツ神秘主義
エックハルトはドイツ神秘主義を代表する人物です。ドイツ神秘主義とは、観想と神秘体験に特徴をもつ宗教思想をいいます。
エックハルトは神性について、「名なき神」「言あげせざる神」として「闇」「深淵」「砂漠」といった隠喩で語っています。これは、神が人間の思念によって想像される概念などでは捉え切れないことを意味しています。
その上で彼は、神についての観想などの内的所有を含め、一切の所有から離脱し、無所有となった魂が神性と合一することを求めました。