ボナヴェントゥラ

 本名はジョヴァンニ・フィダンツァといいます。幼少時に、アッシジのフランチェスコにより重病から救われたので、それにちなんでボナヴェントゥラ(幸運)と呼ばれるようになりました。
 彼は、パリ大学神学部でフランシスコ会の講座の主任教授を務めました。また、フランシスコ修道会総長も務めており、その際には、会則をつくるなどして組織の強化と発展に尽力しました。
 当時主流だったアリストテレス哲学に反発した彼は、アウグスティヌスやアンセルムスの伝統的な神学に忠実に従いました。スコラ学の転換期であっても保守的な立場をとった点では、トマス・アクィナスと思想的に対立したといえます。
 著作には、『神の魂への道程』『三様の道』などがあります。

ボナヴェントゥラの思想

 ボナヴェントゥラは、魂が神という照明を受け、神への愛によって被造物から神へと近づくというものです。
 魂が神へと近づくために必要な照明を得るためには、祈り、魂の鍛錬、黙想が必要であるとしました。彼によれば、人生の目標は神と一致することにあります。その道行きは、苦難のキリストとともに苦しみ、合一することを特徴とします。
 ボナヴェントゥラは、ディオニュシオス・アレオパギテースの著書に親しみ、そこから浄化・照明・合一の3つの神秘主義的な道をとりあげました。そのことは著書『三様の道』に示されており、この書は「神秘哲学の大全」とも呼ばれます。

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