アリウス

 アリウスは、アレイオスとも呼ばれます。
 シリアのアンティオルキアでルキアノスの下に学んだ人物です。
 彼は、キリスト教の神の三位一体における父・子・聖霊について、子の神の性質は、父の神の本質とは異なる類似本質(ホモイウーシオス)を持つのみという考え方を主張しました。この説は、キリスト教の信仰の危機につながりかねないものとして、アリウス派は異端としてキリスト教を破門されてしまいます。

類似本質(ホモイウーシス)

 聖書では、神は父・子・聖霊という三つの位格が一つの実態として考えられています。これが三位一体です。
 アウリスは、子なる神であるキリストの神としての性質は、父なる神の本質(ウーシア)とは異なるものであると唱えました。つまり、子なる神が父なる神と同じ神であるわけがないとしたのです。
 神は万物を創造したとされます。しかし、その万物を創造した神はどこから生まれたのかとなると、結局、万物創造に先立って予め創造されたと解釈するのが自然です。よって、父なる神と子なる神は性質の違うものであるという結論が得られます。
 このことからアリウスは、父なる神と子なる神は、ただ類似本質を持つのだと唱えました。

アリウス説の影響

 アリウス説は、キリストの神性をめぐる大論争となり、全教会を巻き込んでいきます。皇帝コンスタンティヌスによって召集されたニカイア公会議では、アリウス説に対抗するアタナシオスの説が支持されます。
 しかし、その後も論争は続きます。最終的に381年のコンスタンティノポリス公会議で、ニカイア公会議の決定を確認することによって一応の決着がつけられます。
 ただし、それでも論争の余波はありました。今度は、キリストの神として性質のみならず、人としての性質をめぐって論争となります。
 キリストの神としての性質と人としての性質は一致するという立場をとったのがアレクサンドリア学派、一致しないとしたのがアンティオキア学派です。二つの学派は、カルケドン公会議に至るまで論争を繰り返しました。

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