カルヴァン

 カルヴァンは、フランスのピカルディー地方ノワイヨンに生まれました。彼はドイツから広がった宗教改革に、スイスのジュネーブで参画し禁欲的な職業倫理を基本とした独自の改革を実行しました。

予定説(二重予定説)

 カルヴァンの思想の特徴の一つに、予定説(二重予定説)に象徴される神の恩恵の徹底重視があります。予定説とは、人間の意志は救いに無力であり、人間の救いと滅びは神の主権により予定されているとする考え方です。
 予定説を支持する立場からは、予定説は聖書の教えであり正統教理とされます。しかし、全キリスト教の教派が予定説を認めている訳ではなく、予定説を認める教派の方が少数派であるとされます。
 カルヴァンによれば、アダムとイブの原罪以来、人間は決定的に神から遠ざけられてしまい、どの人間が救われるか否かは全て神により決定されています。そのため人間は、神の摂理をひたすら信じて奉仕するしかないとしました。カルヴァンは更に、ここでいう奉仕についてを説明するために職業召命説を唱えました。

職業召命説

 職業召命説とは、各々の人間は神を信じ、神から天職として与えられた仕事を誠実に行うことで理想の社会が生まれ、人々は罪から救われるという考え方です。つまり、天職として神から授けられた仕事に励むことが救いの証になるというのです。
 この考え方は、とりわけ商工業に携わる者の仕事の意義を自覚させた点で、近代市民社会の倫理的母胎になったといわれています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする