外界からの刺激を受け取ったり、心の中で生じている事柄に気づいている状態を指す言葉です。
外界からの刺激と心の中で生じていることを区別する現実検討機能を持っています。
意識は、精神分析学において局所論で用いられる概念でもあります。無意識や前意識と区別される、一定の構造と機能をもった心の領域を指します。
当初、フロイトは局所論で意識という言葉を用いていました。後にフロイトは意識という概念を元に、構造論における心の機能の1つとして、自我という概念を提唱しました。フロイトは、意識の機能を自我の中心的な特徴と考えました。
意識と現実原則
意識は二次過程と呼ばれる、思考的、理性的、論理的で現実原則に従う心の働きに支配されています。
現実原則とは、現実に適応した形で欲求を満たしていくことをいいます。現実原則が働くとき、欲求の即時的な満足を求めることは断念されます。現実の条件に従って欲求の満足を延期したり、回り道であっても満足に到達する手段を探し出します。
意識と防衛
意識は二次過程が働くため、心理的な防衛において重要な役割を果たしています。心理的な防衛により、意識に受け入れられない観念や願望や記憶は、抑圧されるなどして無意識の中に押しとどめられます。意識すると本人にとって苦痛や不安をもたらす観念や願望や記憶は、現実生活を送る上で不都合をもたらすからです。
防衛という心の働きは、意識を中心とした現実生活をスムーズに運営するために行われるのです。
精神分析において、無意識下に抑圧された記憶は、治療を通して意識に統合されることが目指されます。精神分析では無理矢理に不都合な記憶が無意識に押しとどめられているから神経症が生じると考えます。それまで気づかれていなかったものに気づいていくことは、心理的な変化を促進する重要な要因となると考えられています。