洞察思考型の精神療法、とくに精神分析の治療過程で顕著にみられる現象です。
J.ラプランシュとJ.B.ポンタリスが定義しました。二人の定義によると、「精神分析治療の期間において、無意識への到達を妨げるような非分析者の全ての言動」となります。
治療中の患者の様子
患者は治療を求めていながら治療契約とは矛盾するようなさまざまな傾向を示します。抵抗とはしたがって洞察に対する防衛とみなされます。
抵抗は単に治療を妨げるものとしてだけではありません。患者や治療関係の理解を深める重要な手がかりとなりえます。
抵抗の分類
抑圧抵抗
意識化されると心理的苦痛がもたらされるような無意識的衝動を再抑圧するために起こる。
転移抵抗
転移状況では治療者との間で未解決の葛藤が再現され洞察への努力がおろそかにされる。
疾病利得抵抗
当初「異物」であった症状がやがて「同化」され親和的となったことで症状による利得を失うまいとする傾向に由来する。
イド抵抗(反復脅迫抵抗)
本能衝動がその表現様式のいかなる変化に対しても向ける頑強な抵抗で徹底操作を必要とする
超自我抵抗
無意識的罪悪感や懲罰欲求に由来する抵抗で陰性治療反応の端緒となる
そのほか、代表的な抵抗
W.ライヒが提唱した、面接場面以外での直接的な満足を意図した行動化や患者固有の性格特性に由来する性格抵抗があります。また、治療者の性格や不適切な技法、逆転移などが患者の側に招来する抵抗などもあります。