M.クラインが提唱した概念です。
早期の対象関係において活動している防衛機制として注目したものです。
原始的防衛機制には、
- 分裂
- 取り入れ的同一視
- 投影性同一視
- 躁的防衛
- 原始的理想化
などがあります。
特徴
口唇期から肛門期にかけて形成され、境界例の人によく見られます。
原始的防衛機制は、神経症の防衛構造を形作っているとされる抑圧を基礎においた防衛機制に対して、もっと重篤な病理状態に見られる防衛機制です。つまり精神発達のより早い段階に見られるはたらきなのです。表現を変えるなら、フロイトが述べたエディプス期のエディプス・コンプレックスでの去勢不安を防衛しようとする精神の活動技法ではなく、エディプス期より以前における不安を取り扱おうとする心的手法なのです。
対象関係論と原始的防衛機制
クラインは、成人の躁うつ病や統合失調症の臨床的研究の中で、対象関係論的発達論を提唱しました。
その中で「妄想分裂ポジション」(生後直後から3~4カ月)と「抑うつポジション」(5~6カ月から2歳まで)という用語を用いました。
妄想分裂ポジションにおいては、分裂や投影同一視が形成されます。
抑うつポジションにおいては、分裂、投影性同一視などの防衛機制は活動しているが、緩和されたものになります。そして統合が始まるにつれて取り入れの機制が強くなり、昇華、償い、象徴機能などが発達していきます。