対人援助の諸分野において、異なる専門職の間で連携・協力する行為のひとつを指す概念です。
複数の専門家がお互いを援助しあい、利用者(援助される側の人間)への新たなサービスを構成・提供することをいいます。
欧米の対人援助の各分野では1970年代から広まり、90年代には医療・福祉・教育などの対人援助サービスの現場で重視されるようになりました。
日本では2000年代に入って次第に注目を集めるようになっています。
R.L.ヘイズによるコラボレーションの定義
ヘイズはコラボレーションの本質的要素には以下の5つがあるとしました。
- 相互性
- 目標共有
- リソースの共有
- 見通しを持つこと
- 対話の発展
また、コラボレーションの結果としてもたらされる成果として以下の3つを挙げています。
更新
自己に対する見方や自分自身の役割を改めてとらえ直すこと
専門技術の向上
専門技術の向上や、コミュニティに新たなシステムを作ること
コラボレーションの参加者の共同体の成立
参加者それぞれをサポートするような共同体が一時的ではなく継続的に成立すること
コラボレーションの利点
コラボレーションは、利用者(援助される人間)、援助者、組織運営上などの利点があります。
利用者(援助される人間)の利点
援助者がチームワークを組むことで相乗効果が生まれ、援助される側の人間は多様なサービスを受けられます。
援助者の利点
チームで支え合うので、バーンアウトが防止されます。また、他職種とのコミュニケーションのなかで自分の専門性を見つめ直すことで専門性が向上します。
組織運営上の利点
異なる立場の人々が直接顔を合わせて論議するので、新たなサービスやシステムの開発を推進する強い力になります。
コラボレーションの課題
コラボレーションが成立するためには、多くの課題があります。チームで援助計画を立てるために生じるものが多いです。
その例には以下のものが挙げられます。
- 各専門職がそれぞれの専門性を追求するのが難しくなる。
- 利用者の状態の変化に応じて方針や目的を細かく調整するの難しい
- チーム内で対立が生じることもありうる
こうした課題を乗り越えるには、
- 情報共有の仕方を工夫する
- 他分野の専門性を理解し尊重する態度を育成する
などの必要があります。