効果研究 (psychotherapy outcome research)

 臨床的な治療・介入が本当に効果があるのかということを量的に変化する研究をいいます。
 効果研究は臨床心理学の活動を客観的に評価し、社会への説明責任を果たすために重要であるといます。

効果研究の問題点

 効果研究には以下のような問題点があると指摘されています。

一人ひとりの個別的な主観体験が無視される

 効果研究は客観的に数値を使って心理療法の効果を評価する研究法です。そのため一般的な傾向を把握できても、それが特定の個人にどのような影響を及ぼすのかまでは評価できません。

測定できない部分は無かったことにされる

 人間の心理で数値を使って測定できる部分はごく一部です。にもかかわらず、人間の心理を数値で表そうとすることは相談者の一人ひとりの主観からかけ離れた結果を導き出すことにもなりかねません。

極度に統制された環境・条件で調査した場合、外的妥当性が低くなる

 外的妥当性とは研究の結果がどの程度一般的なものかをいいます。 
 心理療法の効果を評価するために、極度に統制された環境・条件で調査した場合、それが別の環境・条件でも有効なのかはわかりません。その結果、臨床的意義が低くなってしまいます。 

効果研究の種類

無作為化比較実験

 人を複数のグループに割り当てて、異なった介入を行い、その結果をグループの間で比較する実験です。

一事例実験

 1つの事例に基づく実験の方法です。多くの被験者を集めることが困難な場合や、集団の平均値では消されてしまう個人の変化を測定する場合に有効です。

メタ研究

 同じテーマを扱った過去の複数の研究を統合するために研究方法です。たとえば、新しく開発した心理療法の効果を確かめるための研究がいくつか行われたときに、それらを統合して効果に関する結論をまとめる場合などに用いられます。

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